2024年03月29日 1815号

【1815号主張/ラファにもどこにも手を出すな/子どもの命守れ 即時停戦を】

かつてない子どもの死

 パレスチナ・ガザ地区の人道支援を担うUNRWA(アンルワ/国連パレスチナ難民救済事業機関)のラザリーニ事務局長によれば、ガザで昨年10月から今年2月までに亡くなった子どもが1万2300人以上になった。これは、2019年から22年までの4年間に世界の紛争地で死亡した子どもの総数1万2193人を上回る。

 イスラエルの一方的主張で16か国がUNRWAへの資金拠出を停止し、ガザ全域に飢餓が広がる。「ガザは世界最悪の人道危機」(WFP=世界食糧計画)の事態となっている。

 子どもたち、市民の命・未来を守るため、即時停戦と支援が緊急に必要だ。

孤立深めるイスラエル

 にもかかわらずイスラエルのネタニヤフ首相は3月15日、150万人がひしめくラファへの地上作戦を承認。この暴挙がジェノサイド(集団殺害)を引き起こすことは必至だ。だが、平和と停戦を求める国際的な運動と世論で、イスラエルは孤立を深めている。

 ニカラグアは3月1日、イスラエルを軍事的に支援しUNRWAへの資金拠出を停止したドイツを国際司法裁判所(ICJ)に提訴。ジェノサイド条約・国際人道法違反と認めること、暫定的措置としてドイツのイスラエル支援停止とUNRWAへの資金停止撤回を求めた。南アフリカは1月の命令に加え、ラファや飢餓の状況についての緊急命令をICJに要請している。

 ガザの人道危機を受け、EUの欧州委員会は3月1日、5000万ユーロをUNRWAに支給すると発表。8日にはカナダ、9日にはスウェーデンがUNRWAへの資金拠出を再開することを決定した。

日本政府は加担やめよ

 日本政府は今もUNRWAへの資金拠出再開を拒否し続けている。上川外相は3月12日の記者会見で、イスラエル軍の行為が国際法上ジェノサイドにあたるのではないかという質問に対し、なおも「法的評価は差し控える」と述べ、実質加担する姿勢を明らかにした。イスラエルとの投資や軍事協定、覚書などもあくまで維持する方針だ。

 世界のパレスチナ連帯運動とともにBDS(ボイコット・投資撤退・制裁)運動を広げ、日本政府に方針転換を迫ろう。DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)は、米大統領予備選の支持候補を「未決定」とするキャンペーンを展開し、バイデン政権にイスラエルへの軍事支援を撤回するように圧力をかけている。

 日本でもBDS運動が展開され、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)もイスラエル協力企業に抗議の一斉要請行動を開始した。全世界に呼びかけられた3月30日パレスチナ「土地の日」国際行動などに全国から立ち上がろう。

 (3月16日)
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