2024年04月19日 1818号

【1818号主張 国のあり方変えよう/万博は中止しかない】

万博・カジノに大逆風

 大阪・関西万博はもはや中止しかない。開催まで370日となってもパビリオン着工はわずか8か国。前売り券販売は4か月で8・7%の惨状だ。一方、大阪市民の一人当たり万博負担額は1万9千円から2万7千円へと上方修正された(3/8)。この額にはインフラ整備等の府市負担分は含まれず、底なしの負担増になる恐れがある。

 さらに人工島・夢洲(ゆめしま)の会場建設現場で、工事中に地中の廃棄物から出たメタンガス爆発事故(3/28)が発生。現場は廃棄物処分場だった場所で、かねてから危険が指摘されていた。そこに集客施設を建設し子どもを無料招待するというのだ。

 参加問題でも、ガザ虐殺の非難もせずイスラエルの正式参加を歓迎。国際的な健康被害を引き起こしている「紅麹サプリ」の万博大口協賛企業・小林製薬の「ミライのヘルスケア」出展は予定されたままだ。追い込まれいらだつ吉村大阪府知事は、万博を批判しているコメンテーター玉川徹さんを「出入禁止」にするという言論統制発言(3/23維新の会タウンミーティング)まで行う始末だ。

 万博理念の「いのち輝く」など全くの看板倒れだ。開催への莫大な費用と建設業界の大動員は能登の被災地復興を妨げる。万博開催の選択肢はありえない。

維新・岸田は命よりカネ

 新年早々、経済同友会の新浪(にいなみ)代表幹事が万博延期に言及(1/5)。閣僚からも高市経済安保相が万博の延期を進言(1/27)したが、岸田首相は頑として拒否した。

 大逆風の中、なぜ維新と岸田政権は万博開催に固執するのか。万博の費用は、会場建設費2350億円のほか国費864億円の直接経費とシャトルバス、地下鉄延伸、高速道路などインフラ整備に9兆7千億円で総額10兆円超に達する。このインフラは、数千億円規模の利権まみれのカジノを核とする巨大施設に利用される。岸田政権とその補完勢力・維新の狙いは、被災地支援や市民の命よりカネ・万博・大規模開発だ。

 市民にどん底の生活を強いながら納めさせた巨額の税金を、大企業が巨大開発で儲けるためにつぎ込むなど断じて認められない。

市民の運動で止める時

 被災地の石川県内灘町議会は「被災地復興のため万博の中止・延期を視野に入れた再検討」を求める意見書を可決(3/4)。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の提起した「万博カジノを中止し被災地支援を」の署名は短期間で4万3千人を超え4月9日、経済産業省に提出された。2月の共同通信世論調査では、万博の中止・延期・規模縮小が合計で71・3%に上った。

 世論は万博中止・被災地支援だ。地域からの市民の運動で万博を中止に追い込もう。

 (4月9日)
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