2024年05月24日 1822号
【避難者の強制追い出しは人権侵害だ 国際人権法で闘い 6・17最高裁包囲へ】
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福島県が都内の国家公務員住宅で暮らす原発避難者を強制的に追い出したのは人権侵害だ―5月11日、「原発避難者の住宅追い出しを許さない会」が主催した国際人権問題の講演会に50人近い市民が参加した。
講演した宇都宮大学国際学部教授の清水奈名子さんは「県の立ち退き訴訟は原発事故後の被害を増幅させ、2次被害にあたるが、福島地裁・仙台高裁は国際人権法も国内法の欠缺(けんけつ)状態(新たな事態に見合った法律が存在しない)も問題にしなかった」と司法の怠慢を指摘。「人権とは『思いやり』や『哀れみ』ではない。『侵すことのできない永久の権利』(憲法97条)で、これに反する法律などは効力を有しない」と強調する。
昨年7月の「国内避難民の人権に関するヒメネスダマリー国連特別報告者による訪日調査報告書」に沿って「立ち退きに関し『公的な住宅から国内避難民を立ち退かせることは権利の侵害』『貧しい世帯を対象とした逆進的、退行的な政策で、さらに困窮化させる』と政策の拡充を勧告した。県の人権侵害を直接国連機関に訴えるルートはなく、それだけに人権侵害への救済は日本国内の司法機関の判断に大きく依存してくる」と裁判所による国際人権法遵守の道筋を示した。避難の合理性に関しても、自己責任論を批判した。
柳原敏夫弁護士は「改めて被害者への人権侵害を基本に据えて攻めていかなければと反省」と述べ、フリージャーナリスト後藤秀典さんは、最高裁判事の東電・省庁との癒着関係を批判し「公正中立であるはずの司法は危機だ」と訴えた。
許さない会事務局は「“国に責任なし”の最高裁判決がまかり通れば、再稼働は進み、事故が起きても救済も補償もいい加減になる。原発のない未来のために6月17日の最高裁包囲行動に参加を」と呼びかけた。
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