2025年07月11日 1878号

【議会を変える/滋賀県大津市議中川てつや/待機児童全国最多の昨年より保留児童増加を追及】

 大津市の今年の待機児童は、全国最多だった昨年より約3割減少しましたが、132人と高止まりで推移。1歳児が待機児童全体の6割を占める構図は同じで、注目しなければならない点は、前年より隠れ待機児童(希望園に入れていないが市の判断で待機児童とされない)が73人も増加し、待機児童と隠れ待機児童の合計の保留児童数では21人増えて537人となったことです。

 市内の民間保育施設は入所率98・7%に上るが、公立保育園は入園希望があるにもかかわらず入所率は64・9%にとどまり、513人の児童の受け入れができていない状態にあります。特に0〜2歳児では、公立園の入所率は45%にすぎません。待機児童問題とは、保育士不足で公立保育園で子どもを受け入れられていないという問題なのです。

 この保育士不足は、過去に民営化を予定して少人数採用を繰り返したことが原因です。その結果、賃金をはじめ待遇面で大津市は県内でも下位となっており、突然大量採用に転換しても集まりません。事実、公立の新規採用保育士は、29名の募集に対し計39名の最終合格者を出しながら18名が他市へ流出し21名の採用にとどまりました。フルタイム会計年度任用保育士に至っては、25名程度の募集で受験者は1人のみで採用はゼロです。

 私は、こうした事態に、「待機児童が減ったから良かった」というトーンで市の待機児童対策の評価がされてはならないと思い、今回で連続5回目の隠れ待機児童問題を含めた質問を行いました。案の定、私の質問前に保守系議員の質問に対して「3割削減で対策の効果があった」「21名の採用で過去30年間で最多」と自画自賛答弁。まさに、私の質問に対する「カウンター答弁」と言うべきものでした。

 私は、待機児童全国最多の昨年に、一番拡充すべき乳幼児専門の公立保育園を閉園し、民間保育施設の開設支援に重点をおくという政策を批判してきました。公立保育園の充実を基本にして必要な民間保育施設を整備する方向をとるべき、そのための保育士の待遇改善が必要、と追及しました。隠れ待機児童の存在を踏まえれば、なおさら重要です。

 待機児童対策を検証するべき今回の議会では、私の他には目立った質問はありませんでした。私は、市の市政をしっかりと追及しない議会を変え、隠れ待機含めた保留児童の観点から施策をつくらせるよう今後も求めていきます。
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