2025年08月29日 1884号

【省庁交渉でODA問題追及/資本のための「国益」でなく人間ファーストへ/コアネット(原発輸出と戦略ODAに反対する市民アクション) 事務局長・三ツ林安治】

 7月25日、コアネットは2025ZENKOin相模原ワンデーアクションの一環として、社民党福島みずほ事務所の協力を得て、ODA(政府開発援助)等の問題にかかる省庁交渉を行った。質問・要請したテーマは(1)JICA法(国際協力機構法)改正(2)OSA(政府安全保障能力強化支援)(3)ビルマ民主化(4)インド新幹線―であった。

ODAの金融化

 4月9日に成立したJICA法改正は「金融手法の拡充をはかる」として公的資金を民間資本のための債券取得や保証に投入し、そのリスクを負うものであるばかりか、「途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること」(OECD〈経済協力開発機構〉DAC〈開発援助委員会〉の定義)というODAの建前から逸脱し、金融に一層傾斜させていく危険性を持っている。

 この法改正の目的は、2023年6月の「新開発協力大綱」の中で「民間資金動員」「オファー型協力」とされた方針の具体化である。近年、ODAのうち税金が充てられる無償資金協力(贈与)は5600億円程度と横ばいであり、厳しい財政状況を反映して増額は困難。そこで民間資金を引き入れていこうというのが「民間資金動員」の狙いである。しかし、ODAではないが、JOIN(海外交通・都市開発事業支援機構)などの「官民ファンド」は実質的に国営であり、民間資本はリスクのある開発事業を敬遠することが明らかとなっている。そして、その運営状況について、会計検査院が「令和5(2023)年度末時点で23あるファンドの6割が赤字の状態になっている」と報告したように、リスクを抱えることが明らかである。

 外務省はこの点について「リスク管理」を強調したが、これにODAを投入するのはその目的からも明らかな逸脱である。また、この目的のために様々な援助メニューをパッケージしたのが日本側からの提案を意味する「オファー型協力」である。これまでの「相手国の要請による」としていたODAの「要請主義」が、実態としてはコンサルタントなどによる日本企業のための事業の「仕込み」がありながらも、これを隠すための方便として使用されてきた歴史があるが、「オファー型」にはこうした装いさえも纏(まと)わないむき出しの利益優先の「協力」にするという意図が見える。

税金100%の軍事援助

 一方、OSAは、「ODAとは別に」とわざわざ断りながら「同志国の安全保障上の能力・抑止力の向上を目的として、同志国に対して、装備品・物資の提供やインフラの整備等を行う、軍等が裨益(ひえき 利益を受ける)者となる」税金100%(無償)の軍事援助である。

 交渉では「同志国」の定義を巡って外務省の見解を質した。福島議員からも「『閣議決定を行うから』という回答だったが、定義そのものが極めてあいまいで、恣意的なものだ」などの追及があった。軍事的結びつきを強めるための援助であることは明らかだ。

 また、他の課題についても「12月のビルマ軍政による選挙に日本は関与するな」「インド新幹線で事業費膨張が不可避と言われる中で、8割のODAを出すのか? 日本政府が責任ある説明を行え」などと追及した。

 いま、第2次トランプ政権によるUSAID(米国国際開発庁)閉鎖にみられる世界的な軍事・外交政策の転換があり、日本においても参院選の参政党の支持拡大に象徴される内向き′X向の下で、ODAは歴史的転換点に立っている。

 日本の貧困を反映して、「税金を他国の援助に使うことに反対」の声が大きくなる可能性が高い。こうした中で、「国益」を優先するのではなく、「人間ファースト」の立場から被援助国の人びとの福祉向上に裨益するため、ODAそのものへの対案と運動が必要になっている。7月27日2025ZENKOのODA分科会では、以上のようにまとめて決意を新たにした。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS