2025年08月29日 1884号

【未来への責任(420)/新たな合祀取り消し訴訟 9月19日提訴】

 1月17日のノー!ハプサ(NO!合祀〈ごうし〉)第2次訴訟最高裁判決は、二つの意味で私たちの予想を超えるものであった。

 一つ目は、20年の「除斥期間」を持ち出し、合祀から20年以内に提訴しなかったとして、原告らの訴えを問答無用に切り捨てたことだ。原告らのお父さんは1959年に遺族らに無断で合祀を強行された。20年といえば、1979年であり、戦死していることさえ、遺族は知らされていなかった。裁判所が遺族に不可能なことを求めている。もはや「法による暴力」だ。

 二つ目には、判決文の大半を占める三浦守裁判官の反対意見が、靖国神社と国が一体で進めてきた長期にわたる合祀の違法性を指摘し、植民地支配下の強制動員で父を奪われた遺族の怒りを人格権侵害の根拠として認めたことだ。三浦裁判官は審理が尽くされていないとして差し戻しを求めたが、多数意見は「除斥期間」を持ち出してそれを拒絶した。三浦反対意見に基づき、無断合祀を裁くという「宿題」が私たちには残された。

 私たちは、その「宿題」を果たすため、戦没者から見て「孫の世代」にあたる遺族による新たな合祀取り消し訴訟を開始することとした。もともと、2年前の第2次訴訟控訴審の結審の際に、太平洋戦争被害者補償推進協議会の李熙子(イヒジャ)共同代表から構想として提案され、準備を進めてきたものだが、このたびの最高裁判決でその意義は鮮明となった。

 7月4日から弁護団が訪韓し、主要な原告予定者の方からの聞き取り調査を行った。当初、戦後生まれであり、父を失って大変な苦労を強いられた「子の世代」の遺族のような体験を有していないことや靖国神社合祀について韓国社会ではほとんど理解されていない状況から、名前だけの裁判になってしまうのではないかと心配していたが、全くの杞憂(きゆう)であった。新訴訟の原告予定者の皆さんは、両親や祖母が「在韓軍人軍属裁判」や「ノー!ハプサ」訴訟の原告として闘う姿を見てきた方々だ。理不尽な無断合祀に対する怒りを皆さん訴えられていた。

 聞き取り調査に続いて最高裁判決を報告する原告集会が開催された。弁護団と事務局から、2001年に提訴された「在韓軍人軍属裁判」以来の韓国の皆さんの合祀取り消しを求める四半世紀に及ぶ粘り強い闘いが最高裁の三浦反対意見を引き出したことを報告し、新訴訟の決意を表明した。李熙子さんは「これまでの裁判は感情の闘いだったが、新しい裁判は論理の闘いだ」と的確に指摘された。新訴訟は三浦反対意見が示した法理を前面に押し出すと同時に、四半世紀積み上げた無断合祀の違憲性を正面から裁判所に審理させる総決算のような闘いとなる。

 原告は米国在住の方も含めて6名の予定で、9月19日に提訴することが確定した。世代交代した原告とともに、私たちも次世代に引き継ぐ闘いとして、新たな一歩を踏み出したい。  (ノー!ハプサ 山本直好)
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