2025年08月29日 1884号

【みるよむ(741)/2025年7月5日配信/過酷な訓練による 軍事大学士官候補生の死】

 5月19日、イラク軍事大学の野外訓練に参加した士官候補生が死亡した。痛ましいこの事件の責任を取る者はいない。サナテレビが事件の実相を報告した。

 イラク南部ディカール州の第4軍事大学で、入学したばかりの士官候補生らに非常に過酷な野外訓練が課された。結果、2人の士官候補生が死に追いやられた。

 この「耐久性と軍事規律を養う」という野外訓練。それは「摂氏43度を超える中で、6時間以上にわたる過酷な訓練を強いられ、十分な休憩も水分補給もない状態で遂行された」という。そのために2人は突然倒れ、重度の熱射病と多臓器不全によって死亡したのだ。

 殺人訓練を指揮したルワイリー大佐は「2023年以降、同様の事故により士官候補生が身体的・精神的な被害を受けた件で、多数の苦情や警告が記録」されている人物だ。訓練の方針と実施の責任者アル・ガンアール中将に対し、遺族が行政上道義上の責任を追及した。この軍の高官は、過剰な訓練や非人道的な慣行の常態化を抑える措置を取らず、容認していた。

 イラクの軍隊は、市民の対政府抗議行動を弾圧し、抗議者を射殺することさえある。それはこのような非人道的な命令支配体制の横行にも支えられている。軍の中の非人道的な抑圧体制に市民から批判の声が上がっていることを、サナテレビは報告している。

兵士の命も守らない

 米軍でも自衛隊でも、似たような事件は頻発している。軍隊は市民を守らないばかりか、兵士の命も守らない。事件は共通の本性を示したものと言えるだろう。

 イラクの軍隊は、政府の腐敗に抗議する市民を弾圧するために利用されている。その役割を遂行するために過酷な訓練を強いて命令に絶対服従する体制を作っている。サナテレビはこのような軍の実態を示し、その本性を暴いている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS