2025年11月07日 1894号
【生活も保育も公的保障を/「公助を拡大させるために」市民交流会/東京・大田区】
|
自民党の新たな連立パートナーの日本維新の会は「高い社会保険料を下げる」と宣伝しているが、中身は医療費を重点とした社会保障費の削減だ。公助の縮小が止まらない。10月19日、「おおたたすけあいひろば」主催による「『公助を拡大させるために』市民交流会」が東京・蒲田で開かれた。
本来であれば行政が行うべきフードパントリーや子ども食堂が、民間の善意に頼っている現状に「ひろば」代表の佐々木透さんは、「ゆがんだ姿」と語った。
参加者から、あらゆる公的業務を民間に委託してしまった現状に対し、「人手不足を補うため、スキマバイトを利用する保育現場がある。保護者は不安に思っている。そこは公的に保障すべき」と意見があがった。
生きづらさ語る当事者も
2013年からの生活保護基準引き下げ撤回を求める「いのちのとりで裁判」で最高裁は6月、違法判決を言い渡した。しかし、国は当事者に対し、謝罪はおろか、被害回復の方向性さえ示そうとしない。
「ひろば」は9月、太田区議会に「最高裁判決の履行を求める意見書採択」の陳情を行ったが、健康福祉委員会で「願意に沿いがたい」との理由で不採択となった。佐々木さんは「もう少しまともな理由を言えないのか」とあきれ返る。「ひろば」は、「いのちのとりで裁判全国アクション」が呼びかける、厚生労働大臣の謝罪と違憲状態の是正を求める署名の拡大に力を尽くしていく。
「ひろば」はフードパントリーを定期的に開催。利用者は毎回100名を超える。その利用者に行ったアンケートには、生活保護費の増額を求める声が多数あった。
生活保護を受給する参加者は「生存権はかなり脅かされている。冬季に加算はあるが、夏はないのでエアコンを我慢しなければならない。電気、食品すべて高い」と生きづらさをもらした。
目白大学の高木仁根(ひとね)准教授は、「生活保護基準は、多数決のように多数派の意志で決めてしまうことにはなじまない部分がある。少数派を守るためにこそ、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を定めた憲法25条が規定されている」と論じた。また、 生活保護に対する市民の認識の低さを問題視した。
首都圏なかまユニオンの伴幸生委員長は、「生活保護費を若干上回るように最低賃金のベースがつくられている。生活保護費が下がれば最低賃金は上がらない。連動している」と述べた。また、座間市の取り組みなどを参考に「自治体の窓口から変えていくことが重要」と提起した。
消費税引き下げへ請願
「ひろば」は大田区議会に対し、長引く物価高騰対策として「消費税の引き下げを求める意見書採択の請願」の提出を目指している。採択を勝ち取るための議論が交わされた。
保育関連の陳情の採択を成し遂げてきた参加者は「議員も人間。人間らしい$Sを引き出すべきだ」「公明党を味方につけるのが得策」など戦術面も力説。
それに呼応し、「おかしいと思っている人の声を、万単位の署名を集めなければならない」「今後は維新の主張がストレートに政権に入ってくる。それを覆すには大きな世論形成が必要」「審議を継続させればいい。その間に署名を集める」「インボイス制度によって個人事業主が悲鳴を上げている。その人たちとつながりを拡げていくべき」と様々な提案がなされた。
佐々木さんは「幅広い運動をつくっていくために、大田区内でいろいろな活動している人たちとネットワークを広げ、議員への働きかけを強めていく」とまとめた。今後も議論を続けていく。
 |
|