2025年11月07日 1894号

【樋口元判事講演「原発は動かしてはならない」/原発推進高市批判の声も/東京・品川区】

 原発事故は“国に責任なし”とした6・17最高裁判決(2022年)以降、全国で原発再稼働が進み、地裁・高裁での忖度(そんたく)判決が続いて司法の独立が危ぶまれる事態が生まれている。地域で“さよなら原発”を闘ってきた市民もこの事態を何とか変えていこうと、学習会・交流会に取り組む。

 東京・品川区では10月25日、大飯(おおい)原発の運転差し止め判決を出した樋口英明元福井地裁判事を招いて講演会「司法はこれでいいのか」を開いた。樋口さんは、ひとたび事故が起きれば甚大な被害をもたらすのが原発、耐震性が一般住宅より極めて低いことを判断の大きな基準として挙げた。

 参加者は「高市首相の原発推進、軍拡は恐ろしい」と危惧する。日本が戦争に巻き込まれれば、海岸線に並ぶ原発は標的になる可能性もある。樋口さんは「仮想敵国やテロリストが原発は攻撃しないという高い信頼でもあるのか」と疑問を投げかけ、「(玄海原発に現れた)ドローンは兵器に使われている」と政府の危機感の無さを指摘した。

 6・17最高裁判決については「私利私欲の判決」と断じ、司法の劣化に対しては「最高裁裁判官の国民審査で×印が2割ぐらいになると裁判官は危機感を覚えると思う」と述べた。

 先立つ9月28日には“再生可能エネルギーで明るい未来を築こう”と、フリージャーナリストの和田明美さんから、太陽光発電ペロブスカイトの進捗状況の報告を受けた。「原発がなくても電気は足りている。太陽光発電で環境を守る安全な未来は築ける」ことが確認された。

 主催者の一人、菅野幸枝さんは「反原発を訴えることにとどまらず、再エネで安全な未来を作れるんだというメッセージを若い世代に伝えていく」と語った。

 11月16日には、2011年から始めて23回を数える品川パレードを開催する。

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