2025年11月07日 1894号

【長生炭鉱遺骨政府交渉/速やかなDNA鑑定 収容費用の政府拠出を】

 「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の呼びかけた本格的な遺骨収容に向けた政府交渉が10月21日、参院議員会館で行われ、200人近くが参加した。

 8月に収容された4つの遺骨の警察庁への引き渡しから間もなく2か月、DNA鑑定作業に向けた韓国との調整を確認した前回交渉から1か月が経過した。この日は冒頭、警察庁の要請に応え、会で保有する犠牲者に関するDNA型データ31件(韓国人遺族25人、日本人遺族6人)を手渡した。

 会は、来年2月の遺骨収容へ、速やかなDNA鑑定による身元確認、より安全な収容活動の費用800万円の政府拠出を求めている。

 ところが、警察庁は「DNA鑑定についての韓国政府の情報が必要」と前回から一向に進まず、「分析方法が異なると照合ができない、どちらでやるのかも決まってない」と繰り返す。会の上田慶司事務局長は「私たちは韓国から世界共通のやり方であるSTR法で行うものと聞いている。韓国は分析に協力の意思を示している」と日本の対応の鈍さを批判。外務省は「韓国側と交渉を持っているが内容は言えない。STR法かも含め確認が必要」と悠長な返答。「それぐらい今すぐ確認できるだろう」との声が上がった。

 厚生労働省は「まだ安全性が払拭できてない」。会の井上洋子共同代表は「調査のためのドローンの使用も提案している。(海中状況を)一番知っているのはダイバーの伊左治さんだ。厚労省はいかに収容を実施しないようにするのかの知見しか集めていない」と怒る。危険性を一つ一つ除去してようやく遺骨にたどり着いたものの、収容後も民間任せに終始する政府の姿勢は、収容事業放棄、安全軽視を示すものだ。

 上田さんは「このままでは遺族はもう死んじゃうよ。もしやれなければ刻む会の責任で鑑定を行う」と怒りをあらわに。12月19日までの具体的な進展を求めた。

 来年2月からは海外の水中探検家も参加し、多くの遺骨が収容される可能性が高い。いまだDNA鑑定も進めていない政府は、世界からの批判を免れない。

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