2025年11月28日 1897号

【1897号主張/戦争挑発の「存立危機事態」高市発言/戦争止めるスピーキングツアーへ】

自衛隊参戦可能性に言及

 11月7日、衆院予算委員会で高市首相は、いわゆる「台湾有事」を巡り次のように発言した。中国による「海上封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために何らかの武力行使が行われるという事態も想定される」「戦艦を使い武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態となり得るケースだと考える」。

 高市は、現職首相として初めて中台関係に関わって「存立危機事態」=自衛隊介入・参戦の可能性を公言した。まさに中国と戦争する≠ニの宣言に等しい。

 「存立危機事態」は、2015年安全保障関連法=戦争法で設けられた。日本と密接な関係にある米国など他国への攻撃で日本の存立が脅かされる「危機」と認定すれば、集団的自衛権行使を可能とする。歴代政権は「台湾有事」と「存立危機事態」との関係については明言を避けてきたが、そこに踏み込んだのだ。

 高市答弁は、政権の勝手な判断で「存立危機事態」と認定し自国への攻撃がなくとも自衛隊の武力行使=侵略を可能とする戦争法の危険性を改めて示した。危険な戦争挑発発言は直ちに撤回させなければならない。

戦争準備進める高市政権

 高市政権は今、予算・軍備・法律等全分野で戦争体制作りを加速させている。

 軍事費のGDP比2%目標を前倒しで2025年度内に達成すると表明。敵基地攻撃能力を持つミサイルの全国配備へ、沖縄、熊本、京都をはじめ地元の反対を押し切って強行をもくろむ。さらに、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則の見直し論議まで開始する。

 また、政府批判を含め報道や言論活動の監視を可能とする「スパイ防止法」の次期通常国会への法案提出を狙う。市民監視体制の強化のため、内閣情報調査室を国家情報局へと格上げすることも画策されている。

 戦争準備へのこうした暴走が、教育・社会保障費など生活関連予算の削減攻撃と一体で進められている。

戦争止める闘いは一つ

 戦争を止める闘いで重要なのは、平和を求める国内外の市民の連帯だ。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、PPSF(パレスチナ人民闘争戦線)アローシュさんを招き、世界の焦点であるパレスチナ市民の闘いとの連帯集会を広島・神奈川・大阪で成功させた。アローシュさんは、パレスチナ連帯と共に日本での戦争推進阻止の闘いを呼びかけた。この市民の闘いこそが停戦から占領終結を切り開き、東アジアの戦争を阻む。

 ZENKOは11月29日〜12月7日、全国9都市で、軍事化を止める琉球弧、各地の闘いを発信するスピーキングツアー集会を開催する。市民の連帯の力で高市政権の戦争準備をストップさせよう。

 (11月17日)
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