2025年12月05日 1898号
【韓国人戦死者靖国合祀取消を次世代と共に/ノー!ハプサ(NO!合祀)第3次訴訟/12・19第1回口頭弁論へ】
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9月19日、植民地支配下に軍人軍属として強制動員され戦死した上に、戦後になって靖国神社に英霊として無断で合祀(ごうし)された韓国人の「孫の世代」の遺族6名が、合祀の取り消しを求めて、東京地方裁判所に提訴した。ノー!ハプサ(NO!合祀)第3次訴訟だ。
その第1回口頭弁論が、来たる12月19日(金)午前11時より、東京地方裁判所103号法廷で開かれる。韓国からは原告の朴善Y(パクソニョプ)さんが参加し、意見陳述も行われる予定だ。
違憲違法指摘の反対意見
改めて、この訴訟の特徴と意義について確認しておきたい。
第1に、今年1月17日のノー!ハプサ第2次訴訟最高裁判決を受けて開始される初めての合祀取り消し訴訟である点だ。最高裁第2小法廷は、原告らが合祀から20年以内に提訴しなかったとして、除斥期間を適用し、請求を棄却した。しかし、合祀の事実さえ韓国の遺族は知らされておらず、無断合祀から20年以内に訴訟を提起することは不可能であって、「法による暴力」と言ってもよい。
除斥期間の適用を巡っては、旧優生保護法訴訟最高裁判決などで「除斥期間の経過によって国が賠償責任を免れることは著しく正義・公平の理念に反し容認できない」等の判断がなされている。日本国や靖国神社は除斥期間を適用した1・17第2次訴訟最高裁判決を根拠に請求棄却を求めてくると予想されるが、不可能を強いる理不尽な最高裁判決の法理とは断固として闘って行かなければならない。
一方、同判決で三浦守裁判官は反対意見で原告が主張立証してきた戦後の国家を上げて推進された合祀の違憲違法の可能性を指摘し、裁判の差し戻しを求めた。判決報告集会でも「反対意見を主文にしよう!」との声が上がった。三浦反対意見を手がかりに、正面から無断合祀の違憲性、違法性を争っていく裁判となる。
第2に、2001年の在韓軍人軍属裁判提訴以来、原告側が苦労して明らかにしてきた合祀事務の実態を裁判の冒頭から主張立証する裁判となる。
在韓軍人軍属裁判が提訴された当時は戦後の靖国神社合祀の実態はまだ断片的にしか知られていなかった。その後、2007年に国立国会図書館の「新編靖国神社問題資料集」が公表され、厚生労働省の公文書や靖国神社の内部資料から合祀事務の全体像が明らかになった。さらにノー!ハプサとしても、独自に厚生労働省や沖縄県公文書館に保管されている公文書を情報公開請求で開示させ、それを元に裁判で詳細に主張立証を進めてきた。これらが三浦反対意見に結びついたことは言うまでもない。第3次訴訟は四半世紀に及ぶ真相究明の取り組みの総集約となる。
「孫の世代」による闘い
第3に、原告が戦後生まれの「孫の世代」となることから、運動も次世代に引き継ぐことを重点に取り組みたい。その第一歩として、裁判当日12月19日の午後6時半から東京しごとセンター地下講堂で、2005年に日韓共同で製作された映画『あんにょん・サヨナラ』の上映と出演者によるアフタートーク企画にも取り組む。映画に出演した太平洋戦争被害者補償推進協議会の李熙子(イヒジャ)さん、在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会の古川雅基さん、そして第3次訴訟原告の朴善Yさんが登壇する。ぜひ、次世代に呼びかけて成功させたい。
また、同日午後2時半からは、衆院第1議員会館国際会議室で、朝鮮半島から動員された戦没者の遺骨返還・DNA鑑定を求める政府交渉も取り組まれる。戦後補償から排除された朝鮮人韓国人戦没者・遺族の人権回復の取り組みの一環として、太平洋戦争被害者補償推進協議会と共に私たちも参加する。
まる一日の行動、ぜひご支援ご協力をお願いしたい。
(ノー!ハプサ〈靖国合祀取消訴訟〉・山本直好)

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