2025年12月12日 1899号
【みるよむ(753)/2025年11月15日配信/イラクの議会に民主主義を取り戻そう】
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イラクでは2003年の占領以後、選挙はグローバル資本とイスラム政治勢力、腐敗した政治家たちによって支配されてきた。サナテレビはその問題点を明らかにしている。
イラクでもすべての成人男女の国民に選挙権がある。しかし、選挙のたびに「社会の空気は国民の怒りと不信感に包まれる」という。
なぜか? サナテレビは「イラクの選挙の投票とは、国民の意思を反映させるのではなく、金銭、影響力、武力が形作る取り引きの反映に過ぎない」と指摘する。
投票カードを買収し、意思を操作し、圧力をかけて強制するという腐敗が横行している。サナテレビはその様子を「金銭的報酬や虚偽雇用約束」「市民の一票が市場で売買される商品となる」などと批判している。さらに露骨にイスラム政治勢力などの「武装勢力関係者」が投票を強要している。
しかも立候補するのは、立法、行政についてのまともな能力もない人びとやSNSで有名になっただけの人物だ。日本でも欧米でも、資金力だけで、あるいは権力だけで、地位を得ている連中はたくさんいる。裏金問題の当事者を平気で登用する高市首相もその一人だ。
サナテレビは「金銭、武力、影響力、権力の介入」を抑えられない限り、11月の選挙結果は悲惨なものになると批判している。
左派統一候補の動きも
番組では触れていないが、今回11月11日のイラク国民議会選挙では、左派、進歩勢力による統一した政策を持つ候補が立候補した。
イラク労働者共産党のサミール・アディルさんたちが政府を批判する他の政党に働きかけた。当選には至らなかったが、イラクの左派、進歩勢力が協力する貴重な経験を得たと言う。
サナテレビは、腐敗し、権力と金力、武力で支配されるイラクの政治を変えようと訴える。サミールさんたちは、それを選挙戦でも実践しようとしている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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