2025年12月12日 1899号

【戦争とめ つながり 平和をつくろう/2025ZENKOスピーキングツアー】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかけたスピーキングツアー集会が11月29日北海道でスタートした。全国9会場で軍事化阻止の最前線の報告と各地の運動が発信される。

高市の戦争挑発に警鐘/軍拡止め平和な社会へ/東京・北区

 東京集会は11月30日、ゲストスピーカーに具志堅隆松さん(講演別掲)を迎え、北区で開催。オンラインを含め100人が参加した。

 台湾労働党・労働人権協会のツァン・ルーシンさんが連帯メッセージ。「高市発言が台湾にもたらす最も直接的な影響とは、平和を希求する台湾人民の願いを無視し、民進党政権を扇動して両岸の対立を激化させること」と、高市発言と軍事予算増額を画策する民進党政権を批判(2面に共同抗議声明)。DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)も高市の危険性を暴きニューヨーク市長選勝利の意義を伝えるビデオメッセージ(3面別掲)を寄せた。

 軍拡を止め、平和な社会を求める=\各地域の運動が報告された。

 ZENKO三多摩は、「20〜30代の若者が海外生活で経験した対話を踏まえ、どう共生の時代を生きていくのか、平和への取り組みへ」などを若い世代が話し合うシンポジウムを12月13日に日野市で開催する。

 首都圏反基地交流会は、「12式地対艦誘導弾能力向上型」と「島しょ防衛用高速滑空弾」の実物を描いたバナー≠表示。「12式」は熊本の健軍駐屯地、「滑空弾」は富士駐屯地に来年3月に配備される。「抑止力の名のもとのミサイル配備」に警鐘を鳴らした。

 毎月、「東海第二原発いらない市川行動」に取り組むZENKO千葉は、新潟県柏崎刈羽原発の再稼働容認に抗議する「人間の鎖」に参加。また、原発事故による心の病を描いた『生きて、生きて、生きて』の上映会が12月11日に行われる。

 ZENKO北部は22日の「月桃の花」歌舞団したまち公演≠フ盛況を報告。活発な宣伝行動で145人が来場し「一つひとつのセリフが心に届き重く受け止めた」などの感想があった。

 様々なパレスチナ連帯行動が報告され、12月17日のイスラエル・アメリカ両大使館、日本政府への抗議行動への参加とAFZ(アパルトヘイトフリーゾーン)拡大を呼びかけた。あだち上映実行委員会は12月13日『ノー・アザー・ランド』上映会参加を訴えた。

 会場には、「写真と遺品でたどる沖縄戦」と題して、ガマ(自然壕)の写真や砲弾の破片も展示された。

 集会後の交流会では、「具志堅さんの話を聞いて、戦争のリアリティを伝えていく重要性を再認識した」などの感想が出された。


講演要旨 沖縄・具志堅隆松さん/主権者意識を自覚し「戦争反対」の声を上げよう

 私の3つの肩書きは沖縄と日本の状況を表している。「沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤー」は沖縄戦遺骨収集が終わっていないこと。沖縄が再び戦場になろうとする中での「ノーモア沖縄戦 命どう宝の会」。日本全国に弾薬庫、中国に届くミサイル保管、反撃目標になる危機感からの「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」。政府に意思表示し、「戦争するな。訓練するな。準備もするな」と掲げ交渉した。

 私たちはアジア太平洋戦争を止めることができなかった。お年寄り、赤ちゃん、子ども、女性の遺骨を掘り出すたびに「一般住民なのにどうして殺されなければならなかったのか」と生き残った人に聞いた。「アメリカ兵より日本兵が怖い」。ものが言えない時代だった。

 今は自由に言える。声を上げることはとても大事。明確な根拠は憲法。主権は国民にあり国が決めても変えることができる。戦争の判断がつきかねる多くの人は避難スイッチ≠ェ入らない。冷静に考えれば確実に戦争に向かっている。43兆円の軍事費は戦争準備に等しい。全国の自衛隊基地を地下化し核攻撃にも生き残る強靭化計画≠ヘ基地が攻撃対象になるからだ。

 高市首相の「存立危機事態」発言は撤回させなければならない。逆にそれは、戦争突入のきっかけになり得ることを伝えるチャンスでもある。台湾と中国の問題は1972年日中共同声明で中国の国内問題≠ニ日本も確認している。台湾には話し合い戦争しない道、中国にも平和的解決を目指す「将来の人たちに託そう」という深い知恵がある。

 日本は戦争できない。54の原発へのミサイル攻撃は核攻撃と同じ結果になる。

 命は大事。自衛隊員を殺させないことは、私たちみなを殺させないこと。戦争は絶対させてはいけない。


地域の文化・自治を守る/それが宝の島=馬毛島を守ること/北海道・江別市

 全国のトップを切って11月29日、ZENKOスピーキングツアー北海道集会が開催された。トップバッターは、余計緊張する。

 ゲストは前回5月に続き鹿児島県の馬毛島(まげしま)基地反対住民訴訟原告団長で西之表市議の和田香穂里さん。

 親近感を覚える報告だ。しかしその内容には、厳しさ・緊迫感が溢れる。

 報告のタイトルに「宝の島を壊すな」「戦争準備を許すな」とあった。宝の島=馬毛島全体を破壊しながら建設される巨大自衛隊基地の実情。それは軍事拠点化を意味する。

 私が注目し、とりわけ気になったことは、和田さんも議会で取り上げ、北海道集会でも報告された【住民への影響】、その実態だ。心が痛んだ。「今だけ、金だけ、自分だけ」という価値観のもと、住民の分断・格差が生じている。まさしく【宝の島】が壊されている。悲しさと怒りに震える。

 馬毛島にはゴミ処理施設がないと聞いた。その中で多くの基地建設作業員。

 また、きっと住民と作業員のトラブルも数多くあるのだろう。そのあたりをもう少しうかがいたかった。

 戦争は人の命を奪う。戦争準備の基地建設だけでも、住民の権利や自治が失われている。今、基地建設が始まり大きな影響を受ける種子島・西之表市の住民。その権利や自治が失われる。それは戦争で命を奪われることと同じだと思う。

 皆で声をあげよう。宝の島を守るためにも。

(ZENKO北海道・山川博豊)

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