2026年01月16日 1903号
【2026年MDS(民主主義的社会主義運動)は/軍拡、生活破壊と全力で闘う】
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2025年11月、グローバル資本主義の中心的な都市ニューヨークで民主主義的社会主義者ゾーラン・マムダニが市長に当選した。一方、日本では新たに発足した高市早苗政権が高支持率を維持している。この事態をMDS(民主主義的社会主義運動)はどう評価し、26年をどう闘うのか。佐藤和義委員長に聞いた。(12月24日、まとめは編集部)

左派の巻き返し
ニューヨーク市長選挙の勝利から、どう闘うのか学ぶべきことは多い。世界情勢をふり返ってみよう。
一昨年来、世界の主要国で政権交代が起こり、右派勢力が伸長した。生活苦を政治が解決できないことへの不満の表明であり、その怒りをすくいとったのが右派勢力であった。
だが、そうではない動きが生まれている。ドイツでは左翼党が復活している。2025年2月の国会議員選挙で支持率が倍増。若者層では極右政党AfD(ドイツのための選択肢)を上回る得票率でトップだった。イギリスでは労働党政権に対する不満を背景に前労働党党首ジェレミー・コービンが左派新党を結成した(11月創設大会)。
グローバル資本主義がもたらした経済格差や生活苦は、資本主義を批判しない右派勢力では解決できない。一層悪化させるだけだ。資本主義を転換する政策を示せば大きな支持が得られる。そのことを示したのがニューヨーク市長選だ。
グローバル資本主義の中心といえるニューヨーク市に民主主義的社会主義者の市長が誕生した。マムダニはDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)のメンバーで、この選挙戦で資本に切り込む政策を掲げた。高騰を続ける家賃の凍結、保育・公共交通バスの無料化、公設マーケット設置などだ。政策に必要な財源は富裕層・資本家への課税でつくる。
市長の権限では実現できないものも多いが、そうした政策が必要なんだと市民・労働者は希望を持った。社会の富を独占する資本から税を徴収し、労働者・市民に再分配する政策を示すこと。これが民主主義的社会主義の政策であり、それにいたる道だ。ニューヨークの労働者・市民はこの政策を支持し、100万票を投じた。極めて大きな一歩と言える。

高市政権の危険性は
日本ではどうか。参政党が伸びたり、高市政権が誕生するなど右派勢力に勢いがあるようだが、彼らは生活悪化を解決できる策は持っていない。参政党の支持率は半減しており、高市政権の高支持率も続くはずがない。
高市政権の経済政策について金融資本、投資家の中には疑問視する声もある。驚くべきことに、日銀が利上げを発表(12/19)したその日のうちに円安が進行する事態が起きている。
日本が金利を引き上げ、米国が金利を下げた。日米間の金利差が縮まり、普通なら円の買い手は増えて円高になるはずだが、金融市場では円売りの方が多かった。日本への投資は損だと判断したということだ。
高市政権が物価対策として組んだ25年度補正予算は、6割以上を国債に頼っている。円安は、財政悪化やインフレの進行を市場が懸念した結果だ。実際、円安・インフレは収まらないだろう。
生活悪化に対する市民の怒りは自公政権を瓦解に追い込んだ。日本維新の会と手を組んだ高市政権は、怒りの矛先を「外国人」や「高齢者」に向ける極右政策によって危機を乗り切ろうとしている。子ども手当や高校無償化、ガソリン減税など多少の「譲歩」はするにしても、自・維連立政権がやりたいことは軍拡とグローバル資本が求める分野(日本成長戦略会議「重点投資対象17分野」)への投資だ。
26年度政府予算案にも表れた軍拡と生活破壊と正面から闘うことが必要になっている。
なぜ戦争が続くのか
ウクライナやパレスチナで戦闘が続くのは、グローバル資本が戦争から利益を得ているからだ。
グローバル資本主義は、新自由主義政策の下で規制緩和や公的企業の民営化により利潤を増やしてきた。非正規労働者を大量に生み出し、低賃金・無権利状態を作り出し搾取を強めた。そして今、モノづくりの現場は市場の拡大も労働者からの搾取も限界を見せ始め、利潤率は低下している。グローバル資本は金融によるギャンブル的儲けに依存を強めるとともに、新たな市場として「戦争」=軍事需要をあてこんでいるのだ。
高市政権だけでなく、世界の主要国が軍拡へと動いているのはそのためだ。EUは軍事費を対GDP比3・5%(関連費含め5%)の方針を決めた。ドイツは徴兵制を復活させ、フランスでも志願制兵役制度を導入している。高市の「存立危機事態」発言は「戦争宣言」に等しいものだ。
危機を煽(あお)れば、軍事費の拡大に反対する政党はほとんどいない。排外主義がはびこり、人権や民主主義を否定していく。生活破壊から民主主義・人権の破壊、平和の破壊は、あくなき利潤追求を行うグローバル資本主義がもたらしたものだ。グローバル資本主義の末期症状ともいえる。
だから、軍拡反対、生活破壊反対を掲げて闘うことがグローバル資本主義の社会を変革していく極めて重要な対決点になっている。

どう闘うか
パレスチナ解放の闘いはグローバル資本の支配との対決点になっている。そこで「停戦」に合意させた意味は大きい。当然、無効化しようとする巻き返しがあるが、グローバル資本の側に矛盾が生じている。グローバル資本の戦争政策をここで止めることが必要だ。
MDSは世界の労働者・市民とともにパレスチナとの連帯を強め闘った。PPSF(パレスチナ人民闘争戦線)のアローシュを迎えた集会は大きな成果を得た。
パレスチナ現地の話を直接聞いた若い人たちが非常に驚き、いろんな思いを持った。資本の抑圧の中で本音が言えない若者たちが、感じたことを話し合っていく。パレスチナの映像を見て、何かをしなければと立ち上がる青年が出てくる。闘うことで、資本の抑圧や支配から解放されていくことが実感できると思う。
ぜひ、国際連帯を強める意味でもDSAやYDSA(青年DSA)との交流、パレスチナの運動家との交流を実現して、世界的な帝国主義戦争、グローバル資本の戦争政策、民主主義破壊と対抗する闘いを広げていきたい。武器製造ロボットをイスラエルに提供する日本企業ファナックに対する総行動をBNC(パレスチナBDS全国委員会)が世界に呼びかけている。MDSも全力で担う。
国内でも各地で弾薬庫設置やミサイル配備に反対する闘いが拡がっている。台湾に最も近い与那国島で軍事基地推進の現職町長が敗北した。マムダニの市長選のように、労働者・市民との対話、訪問活動が成果をあげている。「多数」と言われる高市支持者にも働きかけていくことが必要だ。
まとめれば、26年の闘いは、グローバル資本の危機乗り切り策である軍拡・市民生活破壊を許すのか、平和と民主主義を守り生活向上を目指す民主主義的社会主義の道に進むのか、その岐路にある。MDSは全力で民主主義的社会主義実現に向け、奮闘する。 |
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