2026年01月16日 1903号
【明日をつくるなかまユニオン〈第16回〉/ハラスメントに声を上げる20代・30代女性組合員の闘い】
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セクハラ被害者をゼロに
「被害は私たちで最後にしたい。私たちは沈黙しません。声を上げることで、未来の被害者をゼロにしたい。応援して下さい」
12月2日、大阪市西区の四ツ橋駅前にある渇恊ス(おうせい)環境商事・本社前に、同社で働く20代と30代の女性2名の怒りの声が響き渡った。2人は労働組合なかまユニオンの組合員。社長によるハラスメントに声を上げて告発した当事者だ。
(株)奥誠環境商事は、レアメタル等をグローバルに輸出入するリサイクル事業を営む会社。昨年3月の社内会議で、経営幹部のAさんが人事評価制度に関する意見を述べた際、社長の意向に反したとして不当な報復を受けた事案が発生。Aさんは、以前にも同様の事例で退職に追い込まれた同僚を見ていたことから、声を上げることを決意して、なかまユニオンに加入。団体交渉を行い、報復は全て撤回させることが出来た。
Aさんの団体交渉中の6月、今度は新入社員Bさんが社長から“わいせつ被害”を受けたことが明らかになる。Bさんもなかまユニオンに加入し、闘うことを決意。謝罪と補償を求め団体交渉が現在も続いている。
社長は、反省の言葉を口にする一方で、被害者に同調する社員に対し報復人事を行い、職場環境をさらに悪化させ、職場の不安はさらにひろがっている。
はじめての社前街頭行動
2人の組合員にとって街頭での行動はもちろん初めてのこと。社前を通行する市民にも声を届けるため、巨大パネルやバナー、ちらしを作成し、当日は緊張の面持ちでマイクを握った。
当事者のAさんは「私は今年の3月まで、会社の将来を考え、多くの社員が活躍できるよう指導や管理に全力で取り組んできました。しかし、ハラスメントを内部告発したことで、不当な報復を受けています。もし私が泣き寝入りして黙ってしまえば、また次の女性が同じ苦しみを味わうことになります。だから私は、“被害者は私で最後にする”と決意し、会社を変えるため、労働組合なかまユニオンに加入し、闘う道を選びました。応援よろしくお願いします」と力強く訴えた。
続いて、Bさんも「私は、入社後わずか2か月で、社長から“わいせつ被害”を受けました。働く人間としての尊厳を踏みにじられたのです。会社はこの事実を把握した直後、加害者である社長に被害内容を伝えるという、誤った対応を行い、その後、何度も繰り返されました。被害者である私の気持ちや安全を無視し、まるで被害者が存在しないかのように扱われたのです。これは明らかに、被害者感情を踏みにじる“セカンドハラスメント”です。今回の“わいせつ被害”について、警察に被害届を提出しています。以前から、社内ではセクハラ・パワハラ被害の声が複数上がっていました。被害者を守らず、説明責任から逃げ続ける会社や社長に、私は心の底から怒りを感じています。このままでは、また新しい被害者が生まれ続けます。だから私は、今ここで声を上げます。私たちは、絶対に泣き寝入りしません。沈黙しません。未来の被害者をゼロにしたいのです。不当な対応には、社会的責任を求めます」と切実に訴えた。
その訴えに多くの市民が足を止め、昼休みに応援に立ち寄る同僚も見られた。バナーに掲示した会社のホームページQRコードを通じ、SNS上で会社宛てに抗議を発信する市民も現れた。駆けつけた支援者のうち半数以上が女性だった。
取引先企業と銀行へ要請
団体交渉を重ねるも、株主でもある社長の開き直りが改善されないことから、12月23日、「ビジネスと人権指導原則(国連)」に基づく“企業間責任”を求めて、社長に影響力を持つ大手取引先企業や出資銀行への要請行動を行った。行動には2名の同僚も応援に駆け付けた。取引先企業は要請書を“預かる”のみの対応。銀行は“担当者不在”を理由に対応を拒んだが、直後の街頭宣伝を通じて事態を把握したのか、後で同銀行から「要請を受ける」との異例の連絡があった。
この行動の後、業界内で「社長によるハラスメントを背景に、特定のメーカーが取引停止を検討している」との情報も流れ、闘いの行方に注目が集まっている。
声を上げた20代30代女性組合員となかまユニオンは「企業としての社会的責任を追及し、安心して働き続けられる職場環境をつくるまで闘う」と決意を固める。
(なかまユニオン・角野僚)


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