2026年01月30日 1905号
【コラム 原発のない地球へ/いま時代を変える(35)/浜岡原発でデータねつ造発覚 規制委に適合審査の能力なし】
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浜岡原発(静岡県)3,4号機の再稼働をめざしている中部電力が、基準地震動(想定される地震の揺れの最大値、加速度の単位「ガル」で表す)が小さくなるようにデータをねつ造していた。
浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、直下でマグニチュード8の地震が起きる立地にあると言われている。しかし浜岡原発が建設され始めた頃、基準地震動は450ガルだった。その後、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むという考え方が受け入れられる中で、何度も見直され、現在は1〜4号機周辺が1200ガル、5号機周辺が2094ガルとなっている。揺れの最大値が大きくなったからといって原発をそれに耐えうるように建て替えたわけではない。本体はそのままで部分的に補強をしたとしても限度がある。中部電力の社内調査で、担当者は「揺れを小さく見せたかった」と話したという。これ以上、数値が大きくなれば、審査に通らないと考えたのではないか。
データねつ造の発表を受けて、御前崎市の下村勝市長は「安全性評価に重大な影響を与える可能性のある深刻な内容で、極めて遺憾」との談話を発表。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は1月7日の定例記者会見で、「前代未聞の事案」で「信頼が損なわれた。審査は白紙になる」と述べた。中部電力の林欣吾社長は「原子力部門の解体的な再構築を視野に入れる」と述べたが、現場の社員たちが独断で決めたとは考えにくい。安全を無視し、規制委をだましてでも再稼働させようとする事業者に原発を運転する資格はない。すぐに原発から撤退すべきだ。
さらに問題なのは、データねつ造が分かったきっかけが外部からの通報(内部告発)だったことだ。データ不正は2018年以前から始まったとされるが、規制委はその不正を見抜けず2023年に基準地震動は「おおむね妥当」との評価を出している。通報がなければ、「審査に適合した」とされ再稼働していたかも知れないのだ。山中委員長は「事業者内での不正行為を科学的に見抜くのは困難だ」と述べたが、それでは適合審査そのものが意味をなさない。また他の原発について調査はしないと言うが、「適合」とされて再稼働しようとしている柏崎刈羽原発(新潟県)や泊原発(北海道)は大丈夫なのだろうか。
電力総連の支援を受ける国民民主党は、昨年4月に玉木雄一郎代表が浜岡原発を視察したあと「安全対策は着実に進んでいる」とPRし、11月には榛葉賀津也幹事長が国会で「審査にあまりにも時間がかかり過ぎている」と訴えたが、政治圧力によって安全が軽視されてはならない。
浜岡原発の廃炉を求める市民団体は13日、原子力事業からの撤退を求める要望書を中部電力に提出した。今回の事件は、中部電力だけでなく、規制委員会に基準適合審査をする能力がないことも示した。もはや原発は廃止する以外にない。 (U)
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