2026年02月20日 1908号
【2026衆院選結果/自民圧勝 強まる高市政権の危険性/生活・平和の破壊と闘おう】
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第51回衆議院選挙(2/8投開票)は自民圧勝の結果となった。有権者は、前2回の国政選挙で愛想をつかした自民党政権に今回「期待」を寄せた。だが、高市政権が続けば、生活は一層苦しくなることは間違いない。グローバル資本のための経済政策、軍事費拡大を大手を振って進めるからだ。具体的な政策対案を突き付け、高市政権の市民生活無視の姿を暴きだそう。
生活悪化の反映
自民党は解散前198議席から316議席に増やし、単独で定数465議席の3分の2を超えた。石破政権下で行われた参院選(2025年7月)、衆院選(24年10月)で少数与党に転落した原因であった「統一教会との関係」や「裏金脱税疑惑」の問題は何ら解明されないまま、自民党に票が集まった。目の前の生活苦をなんとかしてほしいという高市への「期待」がスキャンダルまみれの自民党議員を不問にした。それほどまでに、生活は苦しさを増していることを見ておかなければならない。

一方で「諦め感」もある。09年民主党が308議席(定数480)を獲得し、政権に就いた。自民党小泉政権が進めた「規制緩和」が労働や生活を目に見えて破壊し始めたことが背景にあった。有権者の関心は高く投票率は70%に迫った。
今回の投票率は56・26%。前回24年を2・41ポイント上回ったとはいえ、4割以上の有権者は投票に行かなかった。09年とは1千万票の違いだ。「政治変革」への期待は高まらなかった。
その中での自民圧勝。要因は「高市人気」と「中道改革連合不人気」の相乗効果と言える。政治を任せるのは「高市」か「野田・斉藤」かとの仕掛けが効いた。
公明党と立憲民主党が結党した「中道改革連合」は、公明票が自民候補から立憲候補に移れば、接戦区で勝利できると計算した。実際はそうにはならなかった。開票とともに続々と負けが決まった。立憲だった「大物議員」が軒並み選挙区で負けているのは、もともとの支持票すら固まらなかったことを示している。
高市「カラ人気」
中道が争点としたかった「消費税恒久減税」。高市も2年限定ながら消費税減税を口にし、争点にならなかった。メインスローガンにした「生活者ファースト」は具体的な政策として提示できなかった。YouTubeの再生回数は多いものの、多くはネガティブ動画だったという。中道にはそれを跳ね返すだけのウリ≠ェなかったということだ。

「高市人気」も市民生活への政策抜きの「カラ人気」である。消費税減税は街頭演説では触れず、実施見送りへと修正をはかっている。高市の演説の力点は「強い経済」。「日本の技術はすごい」「政府が前に出て投資する」と「積極財政」を前面に掲げていた。「経済が良くなれば暮らしがよくなる」と言いたいのだろうが、これはアベノミクスの時にさんざん聞かされながらそうはならなかった「トリクルダウン」理論に他ならない。
グローバル資本の儲けは労働者を搾取した結果であり、決して労働者・市民が「恩恵」を受けることはない。実質賃金が下がり続ける一方で、大企業の内部留保は積み上がっているのだ。
「景気が悪い」と言う時、高市が思い描いているのは市民生活の苦境ではなく、グローバル資本の「苦境」なのだ。たとえば、販売台数世界第1位にあった日本車がそのポジションを中国車に奪われたことだ。

財界向け積極財政
高市は「自民党が初めて掲げた公約だ」とこの「積極財政」路線を強調する。「初めて」なのは「借金を気にしない」と公言したことだ。やろうとすることは、危機管理投資であり成長投資だ。産業界への税の投入は自民党がこれまでやってきたことに他ならない。
危機管理投資で食糧自給率の向上と言っているが、主食であるコメの生産、価格について一言も語らない。
成長投資先は日本成長戦略会議の「重点投資17分野」。AI・半導体、造船、量子、資源エネルギーなど。これらの分野は中国と市場を争う産業ばかりだ。
ここには「防衛」も入っている。軍事産業を成長戦略に位置づけている。小型原子炉開発は原子力潜水艦や核魚雷の保有を見通している。高市が街頭演説で「自衛隊を憲法に」と口にしたのは、自衛隊を合憲化し、核武装まで夢見ているからだ。
「行き過ぎた緊縮をたちきる」という「積極財政」は市民生活の改善には役に立たないどころか、国債依存度を高め、経済危機を招く恐れさえある。国債発行残高はGDPの2倍以上に達し、主要国の中では異常値だ。国際金融資本は円売り、日本国債売りに動いている。放漫財政による「経済崩壊」を織り込んでいるのだ。市民生活にシワ寄せがくることは間違いない。
この危険な高市に「全面的に支援する」とエールを送っているのが、トランプ大統領だ(2/5)。「米国を再び偉大に」をキャッチフレーズに勝利した共和党のトランプ。民主党の労働者の支持票さえも手にした。
「力強い日本」を連呼し、自民党支持層以外からも多くの票を集めた高市。「法は必要ない」と他国へ軍隊を差し向けるトランプ同様、高市は3分の2の絶対多数を背景に、憲法破壊に突き進むだろう。
具体的政策の対案を
なぜ、高市政権の危険性が届かないのか、どうすれば伝えられるのか。
この点で、参考になるのはニューヨーク市長選挙で勝利したDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)ゾーラン・マムダニ陣営の戦いぶりだ。
教訓とすべきは「アフォーダブル(手の届く、暮らしやすい)ニューヨーク」実現の公約をいかに具体的な政策とし、浸透させたかだ。若い世代が街に定住できるためには何が必要なのか、総花的ではない焦点を絞った問題意識があった。対話を重ね、政策を練り上げ、その政策が実現可能であることを対話を通じて拡げていった。
DSAを先頭に10万人以上といわれる選挙ボランティアは、マムダニのブレない姿勢を確信し、政策実現のために集まった。トランプから「狂った共産主義者」「反ユダヤ主義者」と口撃されても社会主義者、パレスチナ連帯の立場は揺るがなかった。
政権への「幻想」や変革への「諦め」を払拭するには、より具体的な政策とそれが実現可能であることを示し、闘う以外にない。
圧勝した高市政権は一層グローバル資本のために「働いて、働きぬく」だろう。これに対し、まずは軍事費拡大、社会保障削減の26政府予算案と対決し、変革を求めて闘おう。平和と民主主義は譲れない。高市の政策は市民生活を一層悪化させるものであることを事実をもって暴いていこう。
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