2026年02月27日 1909号
【特別国会 問題法案 めじろ押し/高市政権に反撃する市民運動を】
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特別国会が2月18日から始まった。150日間の会期の中で、第2次高市政権は重大な問題のある法案を次々と成立させようとしている。だが、市民生活の改善とは真逆の政策だけに、選挙で示された政権への「期待」は、すぐさま失望に変わるだろう。高市政権に反撃する市民の闘いがいつにもまして重要になっている。
「国論を二分」
総選挙開票翌日(2/9)、高市自民党総裁は記者会見で、「責任ある積極財政、安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化」の重要政策が支持されたと発言した。いわゆる「国論を二分する政策」である。自民党と日本維新の会あわせて、与党は衆議院の4分3以上を占める。高市にしてみれば、これまでできなかった政策を一気に強行する「好機」ととらえている。
だが、生活の改善を期待した有権者を裏切ることは間違いない。改めて、高市のめざすものの危険性を見ておこう。
特別国会で真っ先に議論されるのは4月からの政策を裏付ける予算案だ。高市は、石破前政権の下で作成された財務省とりまとめ案に、AI・半導体分野への投資拡大、軍事費上積みなどの修正を加え、政府案とした。だが、「積極財政」を十分反映していると思っていない。6月の骨太方針から年末の2027年度予算案編成こそ本番だと位置付けている。
これまで「緊縮財政」といえば、新自由主義政策による「小さい政府」のことであり、社会保障費の削減を意味してきた。欧州では「反緊縮」が市民運動のスローガンにもなった。だが、高市の言う「行き過ぎた緊縮財政」を転換する「積極財政」は社会保障の充実とは無縁。高齢者人口増に伴う最低限の自然増分さえ確保せず、高額医療費上限額引き上げなど改悪する。
高市の積極財政は「未来への投資」。政府による産業界への長期的、継続的投資を拡大することだ。産業界は低迷する「経済成長の回復」に期待を寄せている。だが、これで「失われた30年」が取り戻せることはない。この間の「低成長」は、資本による急激な賃金抑圧攻撃の結果だ。国内需要の縮小が低成長の原因だった。高市は最低賃金1500円達成の政府目標さえ先送りしている。小規模・零細企業支援策と合わせてただちに実施すべきだ。

日本版CIA
高市が真っ先に取り組むとした「政府のインテリジェンス(情報収集)機能強化」とは何を目標としているのか。ひとことでいえば、日本版CIA(米国中央情報局)の設置だ。CIAは外国の情報を収集するスパイ組織。それだけではない。今年1月のベネズエラ攻撃にも加わっていた実戦部隊も持つ。かつてはチリの社会主義政権を崩壊させた。日本では自民党に資金提供し、親米工作を行っていた謀略組織である。
グローバル資本が世界で稼ぐには、投資先の国家を操ることが必要だ。高市は維新との「連立政権合意書」(25年10月20日)で、独立した対外情報庁(仮称)及びスパイ養成機関を27年度末までに創設するとした。
この対外実働部隊の創設の前にやろうとしているのが、情報謀略機関の「司令塔」整備である。7月設置を表明している「国家情報局」がそれだ。
「情報」収集にあたる現行組織は、内閣情報調査室、外務省(国際情報統括官組織)、防衛省(情報本部)、警察庁(警備局)、法務省(公安調査庁)などがある。このうち内閣情報調査室を局に格上げし、「国家情報局」として各省庁の情報を一元的に管理する。しかも国家安全保障局と同格となり、国家情報会議(議長首相)の事務局を担う。国家情報会議は、安全保障会議が「武力攻撃事態」や「存立危機事態」の認定など軍事方針を決める際の根拠を揃えることになる。
年内の見直しを進めている軍事3文書の国家安全戦略と同等の位置づけを持った「国家情報戦略」文書を作成する。この中で国家による「情報統制」を正当化することは目に見えている。

市民監視を強化
さらに、すべての市民監視を目的に「スパイ防止法」の制定をもくろんでいる。今も「スパイ天国」と吹聴されるが、この言葉が飛び交ったのは特定秘密保護法(13年12月)を強行する時だった。その後、産業スパイ対策と称し「特定秘密」を「経済安全保障」の分野に広げ、民間企業労働者の身辺調査を可能にした(25年5月)。
その結果、政府は「スパイ天国とは考えていない」と表明した(25年8月15日、山本太郎議員の質問主意書への回答閣議決定)。ところが、まだ「スパイ防止法」が要ると言う。
自民・維新の合意文書には、「スパイ防止関連法制」として「外国代理人登録法およびロビー活動公開法」などの制定を挙げている。
これは、外国政府や組織から資金提供を受け、要請や広報などの活動する個人・団体に登録義務を負わせるもので、モデルは米国だ。その米国では、政権を批判するジャーナリストやNGO団体が「外国代理人」と嫌疑をかけられ弾圧される事態が起きている。
海外からのカンパや支援を受けているだけで「外国代理人」とされ、組織の実態をすべて登録するよう義務付ける。こうした法律ができれば、どんな団体でも「登録義務違反」の疑いをかければ洗いざらい調査することができるのだ。市民による反戦平和など国際連帯活動に対する威嚇である。
参政党、国民民主党は昨年、こうした内容も含めた「スパイ防止法案」をそれぞれが提出している。力点は違うものの、自民・維新、参政、国民と「スパイ防止法」が必要とする点では一致している。反対勢力はごく少数でしかない。
この状況は、「憲法改正」についても言える。参院でも改憲勢力は3分の2を上回る。高市は「憲法改正に向けた挑戦も進めてまいります」と言った(2/9記者会見)。自衛隊の明記、緊急事態条項を核とする改憲案を発議すると表明している。
戦争国家づくりへ突き進む高市政権を一刻も早く、止めなければならない。

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外国からの指示で政治介入する団体と言えば「統一教会」が真っ先に思い浮かぶ。自民党は、スパイ防止法が成立したとしても、これには適用しないだろう。極めて恣意的な目的をもった悪法であることを徹底して暴いていかなければならない。開会早々「秘密保護法対策弁護団」をはじめ多くの市民団体が呼びかける「市民総監視のスパイ防止法・国家情報局法案反対!2・24議員会館前行動」が取り組まれる。戦争を呼び込む高市政権へ反撃の声を挙げよう。
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