2026年02月27日 1909号

【問題だらけの高市「食料品2年間ゼロ」/大企業と富裕層の負担で消費税全体の軽減から廃止へ】

 「食料品消費税2年間ゼロ(以下、2年間ゼロ)」の高市「公約」が動き出した。高市首相は2月9日の会見で、野党も含む国民会議を設定して夏前までに中間報告を出すと明らかにした。これに対し、経団連は「民間目線で徹底的な議論が必要」とけん制し、このほんのわずかな減税≠ナすら予断は許されない。

 とはいえ例え2年間でも生活の助けになるので受け入れる、または注文をつけて実現を求める声がある。だが実は、この2年間ゼロには深刻な問題が潜んでいる。根本的解決には、消費税の減税から廃止へと進めることこそ必要だ。

効果薄く実損や倒産も

 2年間ゼロで食料品は安くなるのか。実際は、食料品の消費税をなくしても、場合によっては価格は変わらず、上がることもある。

 これは、消費税が事業者の生む付加価値に課税する直接税的な性格を持ち、納税義務者が事業者であることによる。消費税分を価格に反映させる/させないことは事業者の判断なのだ。

 消費税法には消費税分を価格に転嫁する規定はない。価格は、基本的には市場での需要・供給により、売れるものは高く、売れなければ安くせざるをえない。食料品が消費税ゼロになっても、事業者が自動的に価格を下げることにはならない。

 また、飲食店(特に小規模)などに大きな打撃となる問題がある。

 2年間ゼロの方式は、主に自民党が主張した「非課税」か、「税率ゼロ」か決まっていない。非課税では、飲食店は仕入消費税分が控除できないので深刻な負担増になる。税率ゼロでも、仕入消費税分は還付(返金)されるが、仕入業者が消費税分を値下げしない、内容量を減らすなど損をする可能性が高い(表1)。




 さらに、中食(スーパー・コンビニの弁当など)が0%になる一方、飲食店での外食が10%のまま据え置かれれば、外食離れが進む。また、レジなどシステム改修や複雑な経理事務負担が生じるなど問題は山積みだ。今でもぎりぎりの中小飲食店には、実損が出、倒産しかねない事態となる。

 当該の飲食業者をはじめ、中小零細企業者らを組織する全国商工団体連合会から中小企業同友会まで、こぞって反対・懸念の声を上げているのはそのためだ。

 加えて2年間ゼロには隠れた意図がある。会見で高市首相は「本丸は給付付き税額控除。2年間ゼロはそれまでのつなぎ」と述べた。

 税額控除(減税)し切れない分について給付を行う「給付付き税額控除」制度そのものには意義があるが、実施国の状況を見ると深刻な欠陥(不正や間違いなど)もある。日本で実施するには所得と資産の把握が壁になっている。

 高市が「本丸」と言うのは、所得と資産把握のためとしてマイナンバーと口座を紐づける狙いがあるからだ。自民党政権がマイナンバー制度を導入した悲願≠ナもある。国民会議に野党を引き込み2年間のうちに結論を出そうと狙う。2年間ゼロが実現せずとも、マイナンバーの紐づけが進めばいいと考えているのだ。

あってはならない消費税

 では、いま何が必要か。

 そもそも消費税は、応能負担という税制の基本から外れ、低所得者に重くなる逆進性を持つ。本来あってはならない税なのだ。消費税全体をまず軽減し、廃止へと進めるべきだ。

 消費税収が国家予算の中心の一つとなって「社会保障財源」が名目とされ、廃止は実現不可能と思い込まされている。消費税廃止を唱えると「社会保障をつぶすのか」という攻撃がくる。

 だが、これは消費税の歴史を全く無視するものだ。消費税率が上がるにしたがって法人税と所得税の税率は下がっていった。大企業と富裕層への恩恵を増やすために消費税が使われたのだ。その逆を行えばいい。

 減税されてきた大企業と富裕層に以前の税率で負担を求め、さらに、緊張をあおり軍需産業を潤すだけの莫大な軍事費などを削減すれば(表2)、消費税減税から廃止は可能となる。

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