2026年02月27日 1909号
【コラム 原発のない地球へ(38)/多くの学生が感想を述べた福島事故15年市民シンポジウム】
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2月7日、明治大学駿河台キャンパスで開催された公開市民シンポジウム「福島原発事故から15年〜いま私たちに問われていること〜」(主催:日本環境会議、協賛:ノーモア原発公害市民連絡会、6・17最高裁共同行動2026実行委員会)に参加した。
基調講演は木村真三さん(獨協医科大学)。福島県内での長年にわたる放射線測定を踏まえ、自然災害とは違う放射能被害について言及した。宮城県と岩手県では震災関連死は2011年以降急激に減少したが、福島県では関連死の高止まりが何年も続いた。国の除染は玄関と表回りを中心に行なわれたが、住人の居室は裏の方にあり線量が高い。基準値を超える山菜やキノコが今でも出回っている。昨年政府は「区域から個人へ」をスローガンに帰還困難区域のバリケードを撤去する方針を示したが、同区域では家が撤去されて誰もおらず、帰還しても住める状態ではない。住民ではなく泥棒が増えるだろう。除染土を「復興再生土」と命名し拡散させる計画が進んでいる。チェルノブイリでは事故から20年で幕引きされた。福島はあと5年――など被災地の厳しい実態を伝えるとともに原発事故の幕引きが図られていることに危惧を表明。若い人に事実を伝えていきたいと強調した。
次に新潟県の事故検証委員会の代表をされていた池内了さんが「現代の巧妙な棄民政策」と題して報告。作家の小田実が阪神淡路大震災を経験して『被災の思想 難死の思想』で書いたことが福島にも当てはまるとして、▽誰の責任も問わずに水に流す▽被災を利用した再開発が進められる▽地元住民の意向を無視するなどを挙げ、現在は原発棄民政策が進行していると指摘。また会場からの質問に答えて、国民が裁判官を審査するシステムを作らないといけない、政府は仮想敵を作り軍事費に何兆円もつぎ込むが確実にやって来る災害にはほとんど予算を組まないなどと述べた。
第2部では、原発事故被災者・避難者による集団国家賠償訴訟(津島・関西・生業〈なりわい〉・京都)、311子ども甲状腺がん裁判、避難者住宅追い出し裁判、柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会、東海第二原発差止訴訟からの訴えがあった。
この市民シンポジウムは4回目だが、選挙戦の最終日だったこともあり、会場は空席が目立った。一方、当日会場の準備に携わっていた学生やたまたま通りすがりに参加した学生十数名が前の方の席に座って講演を聞き、司会者に促されて延べ7名が「今日知ったことを次の世代に伝えていかなくては」など口々に感想を述べた。参加者の中には感情がこみあげて涙を拭う人もいた。常連さんが集まるだけではあまり意味がない。衆議院選挙の結果を見ても、原発事故に伴う悲惨な実態を知らない人に、特に若い人たちに、それを伝えていく場をどう作っていくかが問われているのではないかと思う。 (U)
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