2026年03月20日 1912号
【"311"15年と高市政権/福島切り捨て 再稼働・新増設/再エネへの根本的転換を】
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高市首相は施政方針演説(2/20)で、「福島の復興なくして日本の再生なし」と言い、4月から始まる5年間の「第3期復興・創生期間」を提示した。
ここで言う「福島の復興」とは、▽帰還困難区域の解除を進めて避難者の帰還を進める▽過疎化した地域を「イノベーション・コースト」構想によって産業発展させる▽中間貯蔵施設保管の除去土壌等の再生利用をはかり福島県外での最終処分の道筋を具体化する―という内容だ。
つまるところ、汚染土壌は全国に拡散して県民の不安を緩和し、なお帰ってこない避難者は切り捨て、帰還者・新規移住者を念頭に新工場・研究所の建設を進めて「新しいまち」を作る―と事故をなかったものとする宣言に等しい。
高市政権には、福島原発大事故の反省はなく、教訓に学び、再生可能エネルギーへの抜本的転換をどうするか、など頭にない。施政方針では「原子炉の再稼働加速に向け、官民を挙げて取り組む。廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の建て替えに向け、次世代革新炉の開発・設置についても具体化を進める」と原発推進を強調した。
企業のもうけ最優先
高市政権は「強い国」づくりの一環として核・エネルギー政策を位置づけ、核融合施設と新原発の建設を柱にする。どれも研究開発途上で実用化はずっと先だ。
核融合の実用化は今後30年かかるとされる。しかし、高市は2025年度補正予算で1000億円の開発費をつけ、巨額投資で世界の主導権を握る戦略。先行き不透明でも、とりあえず投資、投資で企業が儲けさえすればいい―これが高市の基本スタイルといえる。
新原発では、三菱重工が1基120万キロワット級となる革新軽水炉の30年代実用化をめざす。また、小型モジュール炉(SMR、1基最大で30万キロワット)は、ほとんどの国がまだ開発段階で1基1〜2兆円の代物だが、今後AI半導体向けのデータセンター建設とセットで活用を図る。これをバックアップするため、新たな融資制度を設けることとした。
核保有の条件整備
日本が最大の出資国であるアジア開発銀行(ADB)は昨年11月、これまで「原発への資金提供はしない」としていたエネルギー政策文書中の文言を削除した。アジア太平洋地域へのSMRの売り込み=輸出に向け、地ならしをしたものだ。昨年の日米首脳会談後にJERA(東電と中電が折半で出資)は、米国産液化天然ガス(LNG)への投資を現在の1割から30年に3割へと引き上げる方針を決めた。日本政府は、トランプの要請に応えると同時に、エネルギー資源におけるロシアや中東、中国の影響力からの脱却を図る。
SMR開発には、もう一つの狙いがある。従来型原発は3〜5%の低濃縮ウランを使用するが、SMRは20%の高濃縮ウランを使う。濃縮度を上げていけば、核兵器に転用できる。日本は現在でもプルトニウム46dを保有しており、海外からは「核の平和利用」への危惧が表明されている。高市は今後、非核三原則の廃止から核保有の条件整備を狙ってくるだろう。
再エネで環境と共存
エネルギー資源の安定供給をいうなら、再生(自然)エネルギーこそすべて自国で賄える。しかし、高市は再エネ開発には逆行する。
メガソーラーへの補助金制度廃止を打ち出し、安定した再エネ導入促進のための固定価格買い取り制度を見直す方向だ。地元自治体・住民が共同で進めてきた洋上風力発電などには補助金は投入しない。
現在日本の再エネ電源構成比は約26%だが、世界主要国の多くはすでに50%を超えている。2年前に原発ゼロを達成したドイツは35年には100%、すべてを再エネで賄おうとしている。中国は25年に450ギガワットの再エネを導入した。日本の原発1基(約100万キロワット)の実に450基分に当たる。
危険な原発への投資はやめ、一部を再エネ開発に回すだけでも新たな仕事を創出できる。▽大手電力会社による送電網の独占をやめ民間利用を拡大する▽再エネ電力の出力制限を撤廃し原発を規制する▽ソーラーシェアリングの活用農地を拡大する▽個人住居での太陽光パネル設置を拡大・援助する―などを進めれば、日本でも安全で環境と共存できる社会が実現できる。

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