2026年03月20日 1912号

【映像'26 弾薬庫が増える町/普通の生活にミサイルはそぐわない】

 自衛隊と米軍が共同で行った図上演習(1/29〜2/5)の際に、南西諸島方面で発生した有事で日本国内が攻撃される事態を想定し、敵国内のミサイル発射拠点に長射程の対地ミサイルを発射する手順が確認されたという(2/28読売)。

 この長射程ミサイルの保管場所になると言われているのが、陸上自衛隊祝園(ほうその)分屯地(京都府精華町、京田辺市)である。政府は「防衛力の抜本強化」の一環として、全国に弾薬庫約130棟を建設する計画だが、そのうち最多の14棟が、関西文化学術研究都市の中央に位置する祝園分屯地内に造られようとしているのだ。

 毎日放送『映像'26/弾薬庫が増える町』は、弾薬庫建設問題を住民の視線で記録したドキュメンタリーだ(2/22放映)。「防衛費を急速に増やし、そのための増税に踏み切る日本。私たちの生活はどう変わるのか。国の安全保障という大きな問題を、弾薬庫増設に揺れる小さな町の現場から考えたい」(亘佐和子ディレクター)

 祝園分屯地を抱える自治体(精華町)では、現代日本の縮図のような事態が生じていた。たとえば、民主主義の空洞化である。住民たちでつくるグループ「ほうそのネット」は、学習会や防衛局への申し入れを続け、町議会議員(本紙でコラム連載中の神田高宏さん)も誕生させた。しかし、その声は町当局や議会になかなか届かない。

 弾薬庫が米軍から自衛隊に移管される際、旧防衛庁と当時の町長との間で「これ以上の用地買収・施設拡張はしない」などの確認書が交わされたのだが、現町長の言い分は「やりとりを記録したものにすぎず、契約ではない」。要は「安全保障は国の専管事項」の一点張りで、自治体の責任を放棄している。

 また、「有事」の際には標的となる弾薬庫の危険性を多くの住民が認識しているとは言い難い。分屯地に近い奈良市内の駅前で若者に聞いたところ次のような反応だった。「争いは起こるので仕方がない。この奈良から生まれた総理の高市早苗さんが方針を示してくれたら、それに従えばいいのでは」

 それでも「ほうそのネット」のメンバーは粘り強く訴え続けている。昨年10月には、建設ストップを求める全国集会が行われ、約2700人が集まった。共同代表の呉羽真弓さんは言う。「普通に暮らすことの大事さ、尊さが、ミサイル弾薬庫の設置で損なわれる。そのことを伝えていけたらと思っている」

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 番組はTVerなどで見逃し配信中。

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