2026年03月20日 1912号

【「議会を変える、市民と変える」/京都府向日市議 杉谷伸夫/ニデック社格安課税の違法を問う住民訴訟 控訴審も全面勝訴】

 6月19日大阪高裁で、私を含む向日(むこう)市民2名が行っていた住民訴訟の控訴審判決が出され、一審京都地裁に続き住民側の全面勝訴となりました。

 裁判は、JR向日町駅東側にニデック社が取得し使用する広大な土地に対して、向日市が農地として格安課税を行ったのは違法であるとした京都地裁判決を不服として、2024年に市側が控訴していたものです。大阪高裁は向日市の訴えを全面的に退け、控訴を棄却しました。

 裁判の争点はシンプルです。農地転用を受けて企業が取得しビル建設を進めた土地を、土地区画整理事業が進行中であることを理由に格安の農地課税を続けるのは市長の裁量かどうか、という点でした。

 市民感覚からすれば、ビル建設中の土地を農地課税(1〜2桁低い)なんてとんでもありません。一方、向日市は、土地区画整理事業の特殊性、課税実務の困難さを理由に、大学教授の意見書まで提出して自らの正当性を主張。しかし、土地の現況に基づいて行うことが土地課税の大原則です。向日市は裁判官から、現況が明らかに農地でない土地を農地課税できる法的根拠を示すよう求められ、最後まで示すことができませんでした。

 この裁判が勝利できた要因の1つは、京都・市民・オンブズパースン委員会との出会いです。もう一人の原告である市民が、不適正課税を示す資料を奇跡的に発見し、同委員会に相談したところ取り上げられ、代表であるけやき法律事務所の浅井亮弁護士が担当してくださいました。過去の判例を調査していただき、「住民が被った損害額の賠償」ではなく、行政の課税行為は違法との確認を求める訴訟とすることになりました。

 勝利のもう1つの要因は、市民の関心の高さです。向日市では、ニデック社の元会長である永守重信氏により市民会館が寄贈され、名称は向日市の名前が入らず「永守重信市民会館」となりました。また一昨年には、ニデック社が取得した土地が、「向日市ニデックパーク」という向日市で7つめの町として分離して生まれました。土地課税裁判は、こうした中での裁判であり、特定企業が市政に与える負の影響に対する市民の懸念が高まる中で行われたのです。

 市は最高裁に上告しましたが、受け入れられる可能性は極めて低く、結論を長引かせるだけです。判決に従って求められる実務を進め、市民の信頼回復に努めるべきです。
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