2001年04月27日発行687号

ロゴ:沖縄戦後史のメロディ 海勢頭 豊
第3回『帰れ太陽』〜目標を見失ってはならない

『帰れ太陽』

 みんなが夢にまで見た日本への復帰でしたが、復帰後も軍事基地沖縄の現実は変わらず、人々の心は政治的悩みと経済的不安に満ち満ちていました。

 あれほど燃え上がった復帰運動のエネルギーも1972年の復帰と同時に目標を失ってしまいました。人々は本土化への迎合の道を余儀なくされていきました。コザの街を中心に生まれ育ったロックグループや、琉球民謡をベースにしたミュージシャンなどが本土上陸を試みて行きましたが、本土という異質な社会性の中で孤立し、これまた目標を失って帰ってくるのが、ほとんどでした。祖国日本は薄情な恋人だったのです。
日本復帰を報ずる地元の新聞
写真:日本復帰を報ずる地元の新聞

 しかし、歴史の中で弄(もてあそ)ばれつつも、沖縄人は本来の目標を見失うべきではないと感じて作ったのが「帰れ太陽」です。人間というのは弱いもので、世の中の流れに身を任せて生きるのは、たやすいことです。しかし、一歩退いて自分の立場や世の中の流れを見極めて、粘り強く目標に向かっていく。そうすれば、いつわりの恋も見抜くことができ、真実の遊びを見つけることができます。

 「日の丸」を掲げる運動から「日の丸」を降ろす運動に変わらざるをえなかった沖縄の心に、真実の太陽を失いたくなかったのです。

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