2001年06月22日発行694号 ロゴ:沖縄戦後史のメロディ 海勢頭 豊

第10回『カベールの彼方』〜古代人の心情伝えるイザイホー

『カベールの彼方』

 1978年に行われた久高(くだか)島のイザイホーの祭りを見て感激した詩人の中里友豪さんが詩を書き、私が曲をつけてできた歌曲。1980年の作品です。

 沖縄本島の東の海上に浮かぶ小さな島・久高島には、ニライカナイの神々を迎えるカベールの浜があり、その沖のリーフには太平洋の波が白く砕けて走っている。島の北側にあるクボー御嶽(うたき)は、神々が降り立つ聖域で、神木のクバ林で囲まれている。そのクバ林の中を、カベールの浜に続く白い道が通っている。12年に一度、午(うま)年に行われるイザイホーの祭りは、琉球王朝よりはるか昔、古代人の心情から生まれ、「母神」を守護神とみる祭祀です。私はこの大祭を見たことはありませんが、私の友人の写真家・比嘉康雄さん(残念なことに、昨年亡くなられた)が祭祀のシーンを写真に収め、記録に残しておいてくれたので、克明に知ることができます。

 しかし、1990年の祭りの年は過疎化のために神司たちが足りず、祭りは中止になりました。来年も祭りの年になりますが、琉球の古祭祀の中でも代表的なイザイホー祭りが途絶えてしまうことは残念でならず、とても心が痛みます。

比嘉康雄さん撮影のイザイホー祭り
写真:比嘉康雄さんのイザイホー祭り
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