月桃の花
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復帰10周年を迎えた1982年、6月23日の慰霊の日に向けたテレビの報道特番の取材中に作った歌。
沖縄本島南部の激戦地を訪ね歩くと、一家全滅した屋敷跡があちらこちらに残っており、香炉だけが並べ置かれたその屋敷跡の片隅には、帰らぬ人たちの霊を慰めるかのように月桃(げっとう)が咲いていたのです。
月桃は、沖縄ではサンニンと呼ばれる薬草です。葉に防菌・防かび効果のあるショウガ科の多年草で、4月中頃からひと夏中白い花を咲かせます。
沖縄戦で艦砲射撃の集中砲火を浴びた南部一帯は、石灰岩が砕け散って真っ白になったといいます。そのイメージに、月桃の白い花が散っている姿を重ねました。
沖縄戦で亡くなった人々への鎮魂歌として作ったこの歌を、沖縄戦終結50周年の95年に企画され96年に完成した映画『GAMA―月桃の花』の主題歌にしました。映画は県内はもとより全国に広がりました。そして、沖縄の小学校ではこの歌を音楽教材に使うまでになっています。
戦争賛美の歴史認識がまかり通ろうとしている今、この歌をうたい続ける意味は大きく、沖縄戦犠牲者に「永遠の命」を授けなければならないのです。