2001年07月20日発行698号 ロゴ:沖縄戦後史のメロディ 海勢頭 豊

第14回『遙かな道に』〜利己的な恐怖とびこえて

 1989年に嶋津与志原作・脚本で長編アニメーション映画『かんからさんしん』が製作されました。沖縄戦のさ中をたくましく生き抜いた子どもたちを描いたこの映画の音楽を担当した私は、その中で数々の歌を作りました。

  テーマソングとして「お母ァの子守歌」、イメージソングとして映画のラスト、カチャーシーの場面に作った「走れサンダー」、腹を空かして泣いている妹のために、主人公の少年とサイパンから生き延びて引き揚げてきた少女が食べ物をさがして砲弾のとび交う島の海辺をさまようシーンに使った「かんからさんしん愛のテーマ」など。

 この歌も映画の挿入歌として作ったもので、沖縄戦における人間の弱さとみにくさを表現することで、反戦思想のメッセージとしました。

映画「かんからさんしん」
写真:映画「かんからさんしん」で少年が空き缶で作ったかんから三線をひいている場面

 人間の愚かさが引き起こす最大の悲しみが戦争です。競争社会にしがみつき己れを守らなければならない、とみんなが思っている限り戦争はなくなりません。利己的な恐怖をとびこえた共通性をお互いの共通性とし、世界に広げていけば、戦争はなくなるのです。

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